クラウドの共同責任モデル(Shared Responsibility Model)は、クラウドサービスプロバイダー(CSP)とクラウドのエンドユーザー(通常は企業または組織)の間でセキュリティ責任がどのように分割されるかを示すモデルです。
共同責任モデルの具体的な内容はCSPによりますが、一般的に以下のように区分されます:
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クラウドサービスプロバイダーの責任: CSPは基本的にインフラストラクチャのセキュリティを担当します。これには、物理的なデータセンターのセキュリティ、コンピューティングリソース(ストレージ、サーバー、ネットワーク)のセキュリティ、クラウドソフトウェア(仮想マシン、データベース)のセキュリティなどが含まれます。これを”Security of the Cloud”とも言います。
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エンドユーザーの責任: エンドユーザーは、自分たちがクラウドに保存または処理するデータとアプリケーションのセキュリティを担当します。これには、データの暗号化、アクセス制御、ネットワークセキュリティ設定、アプリケーションのセキュリティなどが含まれます。これを”Security in the Cloud”とも言います。
クラウドサービスの種類(IaaS、PaaS、SaaS)によって、この責任の分割は変わります。たとえば、IaaS(Infrastructure as a Service)ではユーザーはOSやアプリケーションのセキュリティまで担当することが多いですが、SaaS(Software as a Service)ではほとんどのセキュリティ責任がプロバイダーに移ることが多いです。
このモデルを理解することは重要です。なぜなら、セキュリティインシデントが発生した場合、どの部分がどの組織の責任であったかを明確にするためです。また、企業がクラウドを利用する際のリスク評価やコンプライアンスの確認にも役立ちます。